事務局からのお知らせ
”仮設”とのいろいろな別れ
岩手県立大船渡病院小児科 渕向 透
今年3月1日岩手県立高田病院が待望の新築移転を果たし開院しました. 震災後7年かかって、”仮設”病院という名前を返上することができました. この間皆様のご協力を頂きありがとうございました.
ところで県立大船渡病院も現病院となってから20年が過ぎており、昨年から改修工事が始まっています. 空調、水道、医療ガス等の配管系にガタがきているための改修が中心ですが、震災の時生じた壁のひび割れを直したり、手術室、病棟、外来等も利便性があがるように少し手直しをします.
また震災後市内の宿泊施設が無くなったため病院内に緊急に設置した当院6階の”仮設”宿泊施設も今年4月に閉鎖となります。これまでたくさんの先生方に使っていただき、病院としても使い勝手がよく大変残念ですが、あくまでも仮設の宿泊施設のため、これ以上使い続けることは許されないようです. 現在は市内に新設されたホテルに泊まって頂いています.
このように当院は現在改修中のため、工事の音が聞こえたり等落ち着きませんが、ご容赦下さい. 皆様のお越しを心からお待ちしております.
写真:仮設宿泊施設の入り口と室内の様子
3.12 あの日
3.11が、あの日の全てではありません
3.11は、「あの日のはじまり」にすぎません
4階建ての4階天井まで浸水、翌3.12 5時30分ようやく防災ヘリに発見され、
米崎コミュニティセンターで診療を開始する高田病院の職員
最愛の家族、その安否も分からぬままに
3.11電源喪失、3.12からの度重なる水素爆発、メルトダウン
想定外の連続が、地域、家族をばらばらにする
医療圏崩壊の序章
それでもなお、地域、子どもをまもる、ひとがいます
両親、親戚、近隣住民、それをまもる社会があります
ライフラインがあります
小児医療もそのライフラインの一つとして、ほそくながく、
子どもひとりひとりを見つめ、社会の一部として継続しなくてはいけません
本事業は、子ども、地域によりそう多くの皆様と共に歩むことを目標に
継続します!
事務局一同
宮城県小児科医会 理事(阿部こどもクリニック 院長) 阿部 淳一郎先生 特別寄稿
宮城県小児科医医会 理事(石巻市 阿部こどもクリニック 院長)阿部 淳一郎先生より
特別寄稿文をお寄せ頂きましたので以下に掲載させて頂きます
(写真は、2016年3月撮影 向かって右 阿部先生 左 東北大学小児科教授 呉繁夫先生 臨時事務局会議時撮影)
平成30年3月11日
あの日から7年が経過しました。未だ、石巻市内には時間が止まった場所、空間が散在します。
一方、内陸部には復興住宅が立ちならび、これまでになかった10階以上のマンションも建設され、
町の中は進んだ場所と止まったままの場所の対比が鮮やかです。建築物に限らず、人びとの置かれた環境も対比が目立つようになりました。
石巻市夜間急患センターは海沿いの南浜町にありましたが被災、その後の日和山の仮設診療所を経て、平成28年12月に石巻赤十字病院敷地内に開設されました。石巻市夜間急患センターにおける平日夜間診療は平成14年5月から各開業医の在宅での対応からセンターへの出務方式として始まりました。センターでは月曜日から金曜日の平日夜間は凖夜帯、そして土曜日、日曜日、祝日は準夜帯から翌朝までをカバーしています。当初の平日の担当は石巻市内の小児科開業医、不足分は内科開業医にもお手伝い頂き、現在は石巻赤十字病院小児科医が毎週月曜日と金曜日、航空自衛隊松島基地の小児科医が、毎週1回、女川町立医療センターの小児科医が月1回と支援の輪が広がっています。土曜日については東日本大震災小児医療復興新生事務局の派遣医師に担当していただき、大変お世話になっております。石巻市の小児科開業医はピーク時には10名おりましたが、現在も健在で担当しているのは6名と減少しました。筆者は平成28年に心筋梗塞を発症し離脱しています。以上のように、開業医が担当していた初期診療はその減少枠を主として、同じ敷地内にある石巻赤十字病院小児科医師のカバーで維持されています。センターの石巻赤十字病院敷地内への設置は東北大学小児科教授 呉繁夫先生の後押しがあり実現しました。東北大学小児科からの宮城県内への小児科医の派遣は4カ所の拠点病院へ集中させ、各医療圏をカバーするという構想です。この様な仕組で開業小児科医が減少しても、石巻医療圏の初期診療は維持されています。医師が減ってゆく地域に暮らす住民への、大きな子育て支援になっていると確信しています。
阿部こどもクリニック 院長
阿部 淳一郎
私たちは、忘れません
私たちは、忘れません
あの日、あの時、あれからのことを
私たちは、忘れません
あの日、母に背負われたまま浮いていた津波肺のあの女の子を
私たちは、忘れません
あの日、腰まで水に浸かり、一晩の寒さを乗り越えてなお、地域医療を支えようとした医師を
私たちは、忘れません
あの日から5年をかけて我が子を探し続けた防護服の父を
私たちは、忘れません
あの日、あの時、あれからのことを
これからのために
東北新幹線に乗って
日頃から東北3県の支援受入施設へのご支援誠にありがとうございます.
2月の小児科学会誌へのチラシをご覧になって、
新規ご支援をお申し出いただきました先生方、誠にありがとうございます.
東北の支援受け入れ病院へのアクセスにつきましては、
直接ご案内申し上げる他、当HPのFAQにてご案内させていただいております.
各施設の新幹線最寄駅までは東北新幹線をご利用いただく先生方も多いと思われます.
東京〜福島 1時間35分
東京〜仙台(宮城) 最短1時間32分(新函館北斗行きの場合)
東京〜二戸(岩手) 2時間45分
など、新幹線の高速化に伴い、ひと昔と比べかなりの時間短縮となっております.
実際には、新幹線駅からさらに鉄道をご利用いただいたり、
タクシーや公用車での送迎などでご移動いただく必要がある施設が多く、
ご不便をおかけする部分も大きいのも事実です.
ご移動の際の費用は、各施設の規定に沿う形でお支払いさせていただいております.
遠方からご支援をいただく先生方に、少しでも東北への移動のお時間もお楽しみいただければ幸いです.
事務局一同
写真はE5系はやぶさ(大宮駅ホームにて)