事務局からのお知らせ

特別寄稿 阿部こどもクリニック 院長 阿部淳一郎 先生(石巻市)

2021年3月であの日から10年を迎えます。石巻市では多くの方が亡くなりました。

あの当時の地元新聞を見返しました。死亡者名簿が掲載されて、患者さんの名前を確認したときの気持ちは忘れられません。信じたくないけれども、載っている。あの住所なら、それもあると認識。悲しい記事の連続でした。他には、給水がどこで行われる、食事の配布があります、入浴がどこそこでできます。仙台までの数本のバスの時間。生活に必要なことが掲載されました。やがて、時間とともに記事は普通に戻っていきました。

石巻赤十字病院の小児科は2000年代に入るまでは、常勤医師2名と非常勤医師1−2名で、相対的に開業医の役割は大きいものでした。夜間診療は当たり前ですが、週末の医療も在宅当番医が主でした。しかし、ニーズをフルカバーできず、2002年5月から平日夜間診療を夜間急患センターに移し、石巻市医師会小児科医と隣接医師会の小児科医、そして内科医の協力を得て開始。なんとか継続させて頂いたところに、東日本大震災を経験。その後、震災を契機に宮城県小児科医会、東北大学小児科、石巻赤十字病院小児科と、東日本大震災小児医療復興新生事務局のお力添えでの派遣医師のご支援で維持されております。今後も、開業医の個の力から基幹病院や全国的な小児科医のご支援に軸を移していければ、小児科医が不足する地方都市でも小児医療が継続されます。コロナウイルスの流行で、地方都市での生活のメリットが再認識されます。そのときに必要な要素の一つは、医療の提供だと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。ありがとうございます。

阿部こどもクリニック

阿部淳一郎