事務局からのお知らせ
事務局 宮城県担当 挨拶 宮城県保健福祉部医療整備課 菅原 奈美
宮城県では,石巻市夜間急患センターの土曜日の当直について受け入れを行っておりますが,当事務局の開設から平成28年2月までに全国各地から30名以上の先生からの御支援をいただきました。中には何度もおいでいただいている先生も多くいらっしゃいます。震災から5年が経つ今も継続的に御支援を受けられているのは,応援に来ていただいている先生方と本事業関係者の皆さまの御尽力のおかげです。
本県では,仮設で運営していた一部の医療施設が再開されるなど復旧が進められておりますが,今なお,多くの方々が仮設住宅等での不便な生活を余儀なくされるなど,依然として復興の途上にあります。
引き続き皆さまからお力をいただきながら,地域医療提供体制の復興を推進していく必要があると考えておりますので,今後とも御支援をよろしくお願いいたします。
2016.3.11
岩手医科大学小児科 教授 千田 勝一 先生よりコメント
東日本大震災から5年が経ちました。この間、全国の小児科医の皆様に応援募集をしていただいた日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本新生児成育医学会に御礼申し上げます。お陰様で、岩手県への支援件数は本事務局が発足した2012年12月から2015年9月までの間に249件に上っています。応援をしていただいた皆様に心から感謝申し上げます。
岩手県沿岸部はもともと医師不足に悩んできましたが、震災後は被害が大きかった大船渡市と陸前高田市の6診療所が休廃院となり、地域小児医療・保健が崩壊する危機に直面しました。この影響は周辺医療圏にも及びました。そのため、大学や医師会、県が連携して両市を含む沿岸部の小児医療・保健を支援してきましたが、まだまだ十分とは言えない状況です。
本県沿岸部では復興に向け、少しずつ街の整備が行われています。しかし、まだ2万人強の人たちが仮設住宅で生活をしています。震災後の状況が落ち着くまで、皆様の応援をお願い申し上げます。
2016.3.11
東北大学大学院医学系研究科小児病態学分野 教授 呉 繁夫 先生よりコメント
震災から丸5年が経ちました。長かったようにも、短かったようにも、感じます。私が東北大小児科の教授に就任する3ヶ月前に大震災が起きましたので、私の教授生活は震災復興とぴったり重なっています。その間、全国の皆様に多大なご支援を頂き、何とか今日まで宮城県の小児医療を続けてくることが出来ました。特に石巻市夜間急患センターの運営に関しましては、現在も継続して小児科の診療支援を頂いています。長期間変わらぬご支援を頂いていることは感謝に堪えません。また、この支援システムを設置して頂いた小児救急医学会、日程調整を行って頂いている宮城県庁の方々に心より御礼申し上げます。
石巻市夜間急患センターは、現在の仮診療所から石巻赤十字病院隣に新設される建物に移設予定です。東北地方の小児科医師は、まだまだ足りない状態が続いています。今後ともご支援の程どうぞよろしくお願い致します。
2016.3.11
福島県立医科大学小児科 教授 細矢 光亮 先生よりコメント
支援は「ほそくながく」
2011年3月の東日本大震災から5年が経ちました。これまで、全国のたくさんの方々から、温かいご支援をいただき、本日を迎えることができました。皆さまに、心より感謝申し上げます。
太平洋沿岸部にある公立相馬病院は、地震、津波、原発事故で大きな被害を受けた相双地区にあり、この地区で唯一の小児入院施設を有する小児医療の砦です。常勤医3名が地域小児医療を担ってきましたが、震災後は原発避難地域からの避難者の受診や震災に関連するこころの診療を要する小児の受診などの増加もあり、常勤医が疲弊しておりました。日本小児科学会および日本小児救急医学会を通じた公立相馬病院への休日診療支援は、常勤医の心身の負担を軽減するのに大いに役立っています。
2013年10月から、日本小児救急医学会の支援募集医療機関に福島県中通り中部に位置する公立岩瀬病院を加えていただきました。公立岩瀬病院は地震被害により旧病院の使用が困難になりましたが、幸い竣工されたばかりの新病院に円滑に移転し、診療を継続することができました。原発事故による避難の方々も多く、震災前と同様に常時20-40名の入院患者がおり、これを僅か3名の常勤医で支えてくれています。長期の小児医療支援を期待しています。
2015年8月からは福島県南会津地方の県立南会津病院を9番目の支援施設に加えていただきました。超過疎地域ですが、他の医療圏からは遠く離れており、たった1人の小児科医がこの地域の小児医療を護ってくれています。常時拘束される状況を改善し、心身が解放される時間を作れるよう、休日の診療支援をお願いします。
一旦崩れかかった福島県の小児医療体制も、日本小児救急医学会「東日本大震災小児医療復興新生事務局」を通じた様々なご支援をいただいたこともあり、回復しつつあります。これからも、「ほそくながく」ご支援をお願いします。
2016.3.11
特別寄稿 宮城県小児科医会 理事 阿部 淳一郎 先生よりコメント
震災から5年がたった石巻市は人口減少が顕著です。震災での死亡者数は約3,500人 行方不明は約400人です。石巻市の人口は震災前の約16万人から約1万4千人減少し、昨年の国勢調査では147,236人となりました。石巻医療圏は約20万人であり、三陸自動車道の整備により近隣医療圏から流入が増加しています。特に小児医療は近隣医療圏では整備が遅れており、石巻夜間急患センターでの診療は重要性が高まっています。現状では石巻市の小児科医は開業医が半減しましたが、新規開業はありません。医師不足が顕著ですが、ご支援のお陰で地域住民への医療サービス提供は継続できております。子育て世代が田舎で暮らすための大きな安心は小児医療です。これができていることは、私たちの誇りです。
今年の12月から新しい石巻市夜間急患センターでの診療が始まります。これまで行って来た在宅での当番医の診療は医師不足、看護師不足があり不安定になり、難しくなりました。。私と石巻市担当者、東北大学小児科呉教授で意見交換を行った際に、どうすれば可能になるかを考えました。石巻赤十字病院敷地内へ移転ができれば、石巻赤十字病院小児科との柔軟な医師の交流で、開業医が高齢化して引退、病気の場合にも切れ目なく、診療の継続が可能になるのではないかと私は夢を見ました。地域の開業医と東北大学小児科の効率的な拠点病院への医師配置により、可能になりそうです。今後ともご支援の程、どうぞよろしくお願い申し上げます。
阿部こどもクリニック 阿部淳一郎(写真は事務局で挿入、向かって右 阿部先生、左 呉 先生)